乳酸菌は殺菌されていても大丈夫

乳酸菌の生菌と死菌の違いとは?

乳酸菌というと、生きたまま腸に届くという触れ込みが、テレビCMなどの影響で刷り込まれしまって久しいです。乳酸菌は生きて腸まで届かなくては意味がないのだとおおかたの人に思われています。しかしこれは誤りなのです。

その前に乳酸菌とは何か、そして生菌と死菌の違いを説明したいと思います。

乳酸菌は、人間や動物の腸内に生息する善玉菌です。生きた動物だけではなく牛乳や乳製品そして、 発酵食品の中にも含まれています。乳酸菌は、糖を分解して乳酸を作り出すことを使命としている菌です。その形状は、円柱状の桿菌と球状の球菌です。ビフィズス菌とは違い、酸素があっても生きられるのが特徴で、通性嫌気性と呼ばれています。

乳酸菌は腸の働きを良好に導くためプロバイオティクスに分類されます。乳酸菌は、乳酸を作り出し腸内を弱酸性にすることで、腸内環境を整えてくれます。下痢や便秘はもとより、アレルギーの抑制にも力を発揮します。

次に生菌と死菌の違いを説明します。まずは、生菌です。生きたまま腸まで届くのが生菌です。この乳酸菌は、死なずに腸まで届くことで、腸内で乳酸を作ります。元々、人間の体の中にすでに乳酸菌は生息しています。しかしその量は非常に少なく、善玉菌の総数の中でたったの0.1%以下しかいません。少ない人で1億個、多い人で1000億個です。それでも善玉菌の99.9%を占めるビフィズス菌よりも多くの乳酸を作り出すことで、ビフィズス菌のサポートをしています。

しかし、腸内環境が劣悪で、悪玉菌が優勢の場合乳酸菌も死滅してしまいます。腸内に元々少ないのですから、乳酸が少なくなることで悪玉菌を蔓延させてしまう結果に陥ります。こうした腸内環境が悪化した人に向けて、生きたまま腸まで届く生菌の開発が進められてきた歴史があります。

一方死菌とは、何かというと乳酸菌が死んでしまった状態の菌です。乳酸菌はとても酸に弱く、仮にチーズやヨーグルトなどから乳酸菌を摂取したとしてもその多くが胃酸によって死滅してしまい、死菌となります。また、乳酸菌飲料などに含まれる乳酸菌は、味を安定化させるために、最初から殺菌していますので死菌が含まれたものを通常乳酸菌飲料として飲んでいるのです。

死んでいたら意味がないのでは?と殺菌された乳酸菌を懐疑的に見る人もいます。しかしそれは大きな間違いであるのです。実際は、殺菌された死菌であっても問題がないことが分かっています。

殺菌されていても問題ないのは何故か

一見、死んでしまった死菌には何の効能もなさそうに思えます。だから乳酸菌飲料に殺菌と表示されていると、それだけで胡散臭く思えてしまうのも仕方のないことです。ですが、そう思うのは大いなる間違いなのです。もし仮に殺菌されることで、乳酸菌としての効力がなくなるのであれば、殺菌とう文字をあのように大きく表示させて、乳酸菌飲料を販売するでしょうか。企業としては最も隠したい事柄のはずです。寧ろヤクルトなどは容器の表面下部に大きく殺菌されていると表示させています。こっそり裏に小さく表示するならまだしもこのように大きく表に表示するとは、大胆不敵ではありませんか。

そうです。殺菌されていたとしても乳酸菌は、生菌と同じくらいの働きを腸の中で行うことが分かっています。

外部から摂取された死菌は、その状態で大腸に届きます。すると、荒れた腸内のヒダの部分に張り付き、悪玉菌によって壊され細かい穴のあいた腸を塞ぎます。あたかも、絆創膏のような役割で腸壁を守るのです。もし腸壁が傷ついたままだと、そこからアレルゲンが侵入し全身を血液に乗り巡ります。すると、アトピーなどの慢性アレルギーに悩むようにもなりますし、有害物質が全身めぐるようになるので、瞬く間に発がん性物質が全身に散布されるのです。こうした状態が長く続くと遅かれ早かれ、体のどこかに癌が生まれてしまいます。このような弊害をなくすためにも、死んでしまった乳酸菌は役に立っているのです。

また、死菌はビフィズス菌の餌になります。悪玉菌によって勢力を削いでいるビフィズス菌は弱って日々減退しています。そんな時に、死菌が大腸におりて来ると、弱ったビフィズス菌の餌になり、その餌を食べることで再び善玉菌を増やす事ができるのです。

ということで、巷にあふれる殺菌された乳酸菌でも全く問題ないことが分かります。むしろ殺菌されて死菌になった乳酸菌の方が、腸壁の傷を保護してくれるのでアレルギー持ちの人には親切なくらいなのです。アメリカなどの行っている研究は、死菌中心の研究で、死んでしまった乳酸菌がどのようにして腸内を健康にしているのか、とうことが主なテーマになり久しいそうです。

殺菌=無意味とはあまりにも乱暴な結論だということが、ご理解いただけたと思います。生きた乳酸菌も素晴らしい効力がありますが死菌も同じか、それ以上の価値があるのです。これからは、殺菌と表示された乳酸菌も疎まずに摂取して欲しいと思います。

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