乳酸菌を増やすと悪玉菌が抑制される

乳酸菌を増やすと悪玉菌が抑制される

腸内バランスの理想と現実

10年ほど前には、腸内細菌の数は1人につき100兆個と言われてきました。しかし細菌の研究ではその5倍~10倍の500兆~1000兆個はいると言われています。しかもこの腸内細菌の総量は1.5kgもあります。肝臓と同じくらいの重さがあるのです。

この腸内細菌には種類があります。体になくてはならない、健康へと導いてくれる善玉菌、どっちつかずの態度でその時の腸内細菌の勢力の強い方に従う日和見菌と最後は、腸内細菌のヒール役悪玉菌です。

通常の健康な人の腸内細菌の割合は、善玉菌15%、日和見菌75%、悪玉菌10%程度で保たれています。善玉菌が15%あれば、残りの日和見菌75%もここに上乗せされますから、腸内は善玉菌90%と悪玉菌10%という勢力図になります。しかし、悪玉菌が少しでも増えると一気に日和見菌が悪玉菌になだれ込むので腸内の健康を損なうことになります。

腸はデリケートなので、いつも理想の腸内バランスを保てているかと言えばそうではありません。少しのきっかけで、バランスが崩れて悪玉菌が優勢になってしまうことが多いのです。現実はそこまで楽観できるものではないのです。悪玉菌が増殖すれば、便秘になり、大腸がんなどの思い病気に罹患することもあります。なんとしても悪玉菌を駆逐していかなくてはならないのです。

乳酸菌が増えると悪玉菌は消えていく

悪玉菌を抑え込むのに、有効なのが乳酸菌です。乳酸菌は腸内にも棲んでいる善玉菌ですが、ビフィズス菌が酸素のない場所でしか生息できないのに比べて乳酸菌は、酸素がある場所でも繁殖することができます。数としては善玉菌の0.1%にすぎない乳酸菌ではありますが、人間の体内だけではなくチーズやヨーグルトやキムチなどの、発酵食品の中にも含まれています。発酵食品の酸味は乳酸菌のおかげなのです。

乳酸菌は胃酸に弱いので、生きたまま大腸に到達するのは至難の業です。しかし死菌であっても悪玉菌を抑制することができます。悪玉菌は増殖すると、腸の壁を有害物質で痛めつけて、穴を開けたりしますが、こうした傷ついた腸壁を死んで大腸まで到達した乳酸菌が、保護して悪玉菌から守るバリアのような役目を担うのです。その為にも、多くの乳酸菌が必要になります。何も、無理に生きていなくてもいいので、多くの乳酸菌の死菌が大腸に到達することが大切になります。

生きているのか死んでいるのかは深く考えずに、多くの乳酸菌を腸に送り込むべく毎日乳酸菌を積極的に摂取してほしいと思います。もちろん、生きたままま腸まで届く、生菌も乳酸を作り出し悪玉菌を抑制するので、大歓迎なのは言うまでもありません。

自律神経を整えることで乳酸菌も働きやすくなる

悪玉菌が腸内に増えるのは、腸内環境のバランスが崩れているからに他なりません。腸は第二の脳と言われるほど過敏なものです。気持ちが優れずにストレスを抱えていると、途端に腸内バランスが崩れてしまいます。これは過度のストレスにより、副交感神経のスイッチが入らずに緊張状態の時に作用する交感神経が優位になっているからです。

うつ病の人の腸を調べると、その多くが荒れていて酷い慢性便秘や下痢を患っていることが多いです。不登校の子供が、登校前の朝に必ず腹痛でトイレから出られないという症例が多く報告されていますが、これは気の迷いでも怠けているわけでもないのです。実際に極度に緊張した状態で、交感神経が過剰に作用して腹痛を起こしているのです。

このように、精神的な疾患から腸内バランスを崩すことも多いのが腸の神秘です。まるでそこに心があるかのように反応を示します。自律神経が乱れているのに一生懸命乳酸菌だけを摂取しても焼け石に水、ということになります。乳酸菌の働きを良くして、悪玉菌を駆逐するためには、心の負荷を軽くしなくてはいけません。

自律神経を整えるには、まず早寝早起きをして昼間に働く交感神経と夜に働く副交感神経のスイッチを入りやすくすることです。また、朝起きたら朝日を見ると体内時計がリセットされて、自律神経が正常に動き出すようになります。規則正しい生活というのは、腸の中を整えて、悪玉菌を抑制する力を持つのです。

乳酸菌を摂取して悪玉菌を追放する

自律神経が正常化すれば、あとは乳酸菌を積極的に摂取するだけです。多忙な人にはサプリで摂取すれば毎日確実に乳酸菌を腸に送り込むことができます。悪玉菌の働きが弱体化すれば、一気に善玉菌が形勢を巻き返すので、そこからの追い上げは早く、あっという間に便秘などの悪玉菌の起こす諸症状を緩和することができます。

いつまた腸内バランスが崩れるのか分かりませんから、日常的に乳酸菌を摂取することを忘れないでください。特に、もともと胃腸が弱く小さな頃から便秘や下痢に悩まされてきたような人は遺伝的に、善玉菌を損ないやすい傾向にある場合もあります。腸の強い人はそこまで神経質にならなくても良いかもしれませんが遺伝的に腸が弱く、身内に大腸がんなどの重篤な病気で他界されている人がいる場合は、乳酸菌を毎日摂取して、悪玉菌を駆逐してほしいと思います。

基本的に症状が出てからでは遅いので、出る前に対処したいものです。後手後手になると、そこから善玉菌を優勢にするのに、また日数がかかるからです。

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